【弁護士コラム】離婚、親権者の代理権濫用
養育費の合意成立後の請求手続
親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代理します。
親権を行う者がその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。特別代理人を選任することなく、子を代理して法律行為を行うと無権代理になると考えられます。
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最高裁判所は、親権者が子を代理する権限を濫用して法律行為をした場合において、「その行為の相手方が右濫用の事実を知り又は知り得べかりしときは、民法93条ただし書の規定を類推適用して、その行為の効果は子には及ばないと解するのが相当である」「しかし、親権者が子を代理してする法律行為は、親権者と子との利益相反行為に当たらない限り、それをするか否かは子のために親権を行使する親権者が子をめぐる諸般の事情を考慮してする広範な裁量にゆだねられているものとみるべきである。
そして、親権者が子を代理して子の所有する不動産を第三者の債務の担保に供する行為は、利益相反行為に当たらないものであるから、それが子の利益を無視して自己又は第三者の利益を図ることのみを目的としてされるなど、親権者に子を代理する権限を授与した法の趣旨に著しく反すると認められる特段の事情が存しない限り、親権者による代理権の濫用に当たると解することはできないものというべきである。」旨判示しています。
したがって、親権者の代理権濫用行為が無効になる場合は、かなり限定されると考えられます。