【コラム】財産分与として不動産を譲渡する場合と税金
離婚に伴う財産分与について、不動産を分与するケースもあります。
離婚に際し、財産分与として不動産を譲渡する場合、事案によっては、課税される場合もあります。
財産分与として、不動産を譲渡するにあたり、譲渡所得を生じたものとして課税されることについて錯誤があった場合、財産分与の合意は、錯誤により無効となるのでしょうか。
最高裁判所の裁判例では、
「所得税法33条1項にいう「資産の譲渡」とは、有償無償を問わず資産を移転させる一切の行為をいうものであり、夫婦の一方の特有財産である資産を財産分与として他方に譲渡することが右「資産の譲渡」に当たり、譲渡所得を生ずるものであることは、当裁判所の判例とするところであり、離婚に伴う財産分与として夫婦の一方がその特有財産である不動産を他方に譲渡した場合には、分与者に譲渡所得を生じたものとして課税されることとなる。」旨判示したものがあります。
離婚に際し、不動産を財産分与する場合、税務上の問題が生じる可能性がありますので、注意が必要です。
また、上記最高裁判所の裁判例(最一小判平成元年9月14日)では、
当該事案の結論として、財産分与契約が錯誤無効であるという主張が認められました。
しかし、いったんなされた財産分与契約について、事後に錯誤無効の主張が認められるとは限りません。
むしろ、いったんなされた財産分与の合意について、事後の錯誤無効の主張は認められないことを前提に事前に準備、検討すべきであると思います。 当事者としては、あらかじめ税法について不安な点があれば税理士等の専門家に確認して、
事後にトラブルにならないようにすべきであると思います。
財産分与について、分からないことがありましたら、弁護士までご相談ください。
(注)財産分与について、当事務所では、協議離婚の交渉、離婚調停、離婚訴訟などを扱っていますが、税務業務は扱っていません。
当事務所では、税務についてのご相談は税理士の先生をご紹介させていただいております。
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