【コラム】再婚禁止期間と最高裁判所判決


民法733条1項は、女は、前婚の解消又は取消しの日から6箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない旨規定しています。民法733条2項は、女が前婚の解消又は取消しの前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない旨規定しています。

 

この条文の趣旨は、父性推定の重複を避けるところにあると考えられます。

 

次に、嫡出の推定を定めた民法772条は、次のように規定しています。

 

民法772条1項は、妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する旨規定しています。
民法772条2項は、婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する旨規定しています。


そうすると、単に父性推定の重複を避けるという意味では、100日程度で足り、6か月の再婚禁止期間は不要ではないかとも考えられます。

 

 

女性のみに再婚禁止期間を定めた民法733条1項は、憲法14条1項、24条2項に違反するのではないかなどの点が争われた事件について、平成27年12月16日、最高裁判所の判決がありました。

 

憲法14条1項は、法の下の平等を定めた規定です。

 

憲法24条2項は、配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない旨規定しています。

 

最高裁判所は、100日を超えて再婚禁止期間を定める部分は、憲法14条1項、憲法24条2項に違反する旨の判断をしました。

 

もっとも、100日の再婚禁止期間を設ける部分も含め、全てが違憲である旨の反対意見もありました。

 

この問題に関し、この判決が実務にどのような影響を与えるのか、注意が必要であると思います。また、この最高裁判所の判決を受けて、国会がどのように対応するのか、注目したいと思います。


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