【コラム】慰謝料請求における債務の免除と他の共同不法行為者に対する効力
Aが、Bに対し、BがAの配偶者Cと不貞関係を持ったことを理由に
損害賠償請求をした場合、理論的には、BとCは、共同不法行為者になると考えられます。
この場合、Aが、共同不法行為者の一人に対し、免除の意思表示をした場合、
免除の効力は、他の共同不法行為者に及ぶのでしょうか。 |
連帯債務については、民法437条は、連帯債務者の一人に対してした債務の免除は、その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者の利益のためにも、その効力を生ずる旨規定しています。
この規定が、共同不法行為の場合にも適用されるのか、問題となります。
最高裁判所の裁判例には、
「民法719条所定の共同不法行為が負担する損害賠償債務は、いわゆる不真正連帯債務であって連帯債務ではないから、その損害賠償債務については連帯債務に関する同法437条の規定は適用されないものと解するのが相当である」旨判示したものがあります。
もっとも事案によっては、免除の意思表示の解釈として、他の共同不法行為者の債務も免除する意思であったと解釈される可能性もあります。
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