【コラム】財産分与の対象となる財産
事務員:離婚事件で、財産分与(ざいさんぶんよ)という言葉が出てきますが、財産分与とは、何ですか。
弁護士:大ざっぱに言えば、婚姻後、夫婦で協力して形成した財産を離婚に際し、清算をする制度です。
事務員:財産分与は、どのような財産を対象にするのですか。
弁護士:原則として、結婚後、夫婦が協力して形成した財産が対象になります。
結婚後に購入した自宅の土地、建物、自動車、預貯金、生命保険など様々な財産が財産分与の対象となる場合があります。
事務員:例えば、親から相続した財産も分けなければならないのですか。
弁護士:親から相続した財産は、通常、財産分与の対象とならない(分けなくてもよい)と考えられます。
事務員:なるほど、夫婦生活と無関係に得た財産は、通常は分けなくても良いのですね。
事務員:離婚する場合には、別居して、離婚の話し合いをして、調停(ちょうてい)手続をしてなど、いくつかの段階を経る場合も多いと思いますが、財産分与は、いつの時点での財産を分けるのですか。
弁護士:別居時を基準とすることが多いと思います。
事務員:財産分与の対象となる財産について、調停(ちょうてい)手続になった場合には、家庭裁判所が調べてくれるのですか。
弁護士:家庭裁判所は、当事者の方にどのような財産があるのか調べてくれません。
当事者の方が、財産分与の対象財産の存在を主張し、当事者間に争いがあるときは、立証する必要があると思います。
事務員:相手方がどこの金融機関と取引をしていたかなど、夫(または妻)の財産のことをよく把握しておくと良いのですね。